廃屋の菜津美(3)
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構わず薄汚れた茣蓙を敷く。
「まあ!」
二畳分の広さが予想を超えていたのか
菜津美が小さく驚きの声を上げた。
他愛もないことに驚くのも
清楚さを装う術なのか。
男が促し
菜津美を茣蓙の中央に立たせる。
そして、ゆっくりと周りながらその全身を
ことさら時間をかけて見つめ続けていた。
それだけでも倒錯を覚えるのか
華奢な肢体が微かに揺れている。
向日葵柄のワンピース
青ざめた白い頬、薄紅の唇、豊かな胸
それらを包み込むミスディオールの香り。
その香りに誘われたように
男が菜津美の耳たぶを掴み
グイッと引き寄せながら白いうなじに唇を押し当てた。
途端に華奢な肢体がビクッと身震いする。
その身震いごと抱きしめ
うなじに歯を立て強く噛む。
「ぁああぁぁぁぁっ」
形の良い顎を反らしながら
薄紅の唇から震えを帯びた小さな喘ぎが漏れる。
男が離れた時
白く細いうなじには
隷従を誓う刻印のような赤紫の歯形が刻まれていた。